決算書から考える「飲食店よりも冷凍自販機の良い点」
少し前から、長野市内で「冷凍自販機」をよく見るようになりました。この写真の自販機は、近所のスーパーに最近設置された冷凍自販機で、一番左のケーキのようなものは、全て売り切れていました。(補充のタイミングが遅かっただけかもしれませんが。)
他にも、簡単な調理の必要はありますが、冷凍のラーメンや餃子の自販機が、TSUTAYAや百貨店の建物の脇に設置されているのを見かけます。
こういった冷凍食品の自販機は、長らく続いているコロナ禍で広がっているようですが、普段から様々な業種の試算表を見る仕事をしている側として、どういった点が飲食店よりも良いのか、まとめてみようと思います。
1.人件費がほとんどかからない
実際の店舗がある飲食店の場合は、注文を取ったり配膳をする店員の方を雇う必要があり、アルバイトであれば時給で、そうでなければ固定給で、人件費を支払う必要があります。ただ、冷凍自販機の場合であれば、調理したり自販機に補充する方は必要ですが、『注文を受ける、配膳をする』役割は自販機が担ってくれるため、その役割の人件費は不要です。
通常の飲食店であれば、営業時間内は、お客様が来ないor少ない時でも、アルバイトを雇うなり誰かしら人件費をかけて人員を配置しておかなければならず、極端なことを言えば、お客様が全く来なかったとしても人件費はかかってしまいます。ただ、自販機の場合は賞味期限内の食品の補充さえしておけば、店番の人件費をかけずに売上を得ることが出来ます。
2.廃棄が出にくい
通常の飲食店の場合は、冷凍の食材を使っているところもあるかとは思いますが、冷凍はせず、野菜や肉、魚等、日々仕入れを行って調理している店舗の場合は、もし、予想していたほど注文が無く、食材があまってしまった場合には、廃棄するしかないということになります。スーパーやコンビニであっても、賞味期限が切れてしまったお弁当や惣菜は廃棄するしかないですよね。
冷凍の自販機も賞味期限自体はあると思いますが、日々仕入れた食材だったり、調理済みのお弁当や惣菜よりは、長い賞味期限で販売することが出来るものだと思います。
ちなみに、このブログの写真の真ん中の自販機で買ったチヂミの賞味期限は、購入してから3ヶ月以上でしたし、左側のケーキに関しては、缶詰のようなものに入れて販売しているようでしたので、賞味期限はより長いのでは、という印象です。
廃棄となってしまうと、仕入れた金額がそのままその店舗のマイナスになってしまうので、賞味期限を長くして廃棄が出にくい仕組みは、冷凍自販機の良い点だと思いました。
3.参入 or 撤退がしやすい
冷凍自販機の場合は店舗を構える必要がないので、自販機の機械代金や場所代はかかりますが、毎月固定家賃の店舗を借りるよりも、固定費は抑えられるのではと思います。
さらに言うと、同じ冷凍食品で各地区に複数自販機を設置していたとして、場所が悪くあまり売れない自販機があったとしても、その自販機のみ撤退すれば良い、ということになるので、飲食店の店舗を複数構えているより撤退はしやすいと思います。また、良さそうな場所があれば、固定家賃は店舗よりかからず、もともと生産している冷凍食品を新しい自販機に補充するだけ、ということであれば、参入もしやすい業態かなと思います。
ただ、そもそも論ではありますが、その冷凍食品自体に魅力が無いと、いくら経費が抑えられて参入しやすかったとしても、売上を十分に得ることは出来ず、目新しさで買うだけでリピーターになる人がいなければ、冷凍自販機の事業を続けることは難しくなってしまうと思います。なお、この点については、店舗がある飲食店でも同じことが言えると思いますし、飲食業で一番難しいところなのではと思います。
おわりに
冷凍の自販機の食品であっても、作られているのが本格的なお店だったりすると、簡単な調理でお店で食べるような美味しい料理が家でも味わえるので、たまにですが買うようになりました。外食の頻度が減った分、コロナ前より自宅で食べる食事にかけるお金は増えても良いかな、という気持ちがある人が増えていると思いますので、こういった自販機も増えているのかなぁと思います。1ヶ月どれくらい売れているのか、また、自販機市場はまだまだ伸びしろがあるのか(場所や食品の種類等)、気になるところです。
話しは少し逸れますが、5年以上前に行ったことがあった、料理も雰囲気も気に入っていた沖縄料理屋が無くなってしまったり、何十年も前から利用していた飲食店が規模縮小する話しがあったりと、飲食業をされている方は大変な方が多いのではという印象ではあります。ただ、もともと食べることやお酒も好きなので(そうは言っても年齢のせいか、かなり飲めなくなりましたが。)、久しぶりに感染対策をしつつ少人数で飲食店に行ったり居酒屋に行ったりすると、やはり外食でしか味わえない楽しさや良さを感じます。
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