"旧姓" で仕事をしている場合でも、「支払調書」の対象者の場合は、取引先に戸籍上の名字を伝えなければいけない!?

入籍の手続きは長野市役所でしました。

 結婚後も、旧姓で仕事をされている方は沢山いらっしゃると思いますが、戸籍上の名字を変えると、「支払調書」の対象者である場合は少々面倒なことがあります。

 税理士の場合ですと、旧姓使用の手続きをして認められると「旧姓使用承認通知書」が送られてくるので、 ”旧姓” で税理士業務を行うことになります。この旧姓使用の手続きに必要な書類はそこまで複雑ではなく、旧姓使用承認申請書と戸籍抄本と手数料を用意すればOKです。
(参考:税理士登録時⇒日本税理士会連合会、登録後の変更⇒東京税理士会の場合 

 そして、”旧姓使用” の承認を受けた税理士は、申告書等への署名や看板・名刺等、会員名簿の記載は必ず旧姓を使用しなければならず、業務を遂行する上で常に旧姓を使用し、委嘱者等に誤解や混乱を生じさせないよう努めなければならない、と税理士会にて記載されています。また、旧姓使用の承認がされれば、「納税者からの源泉徴収票表記が旧姓となる」と記載があり、源泉徴収表での記載は "旧姓"と明記されています。
(私の登録している関東信越税理士会HPには旧姓使用のページが無かったので、参考に東京税理士会の場合のURLを記載しておきます。【東京税理士会(旧姓使用について)】

 ただ1つ問題になってしまうのが、年に1回作成して毎年1/31が提出期限の報酬、料金等の ”支払調書”での記載名です。こちらについては、支払調書の支払いを受ける者の "記載すべき事項" にて『支払を受ける者の住所(居所)又は所在地、氏名(個人名)又は名称(法人名など)を契約書等で確認して記載し、単に屋号のみを記載することがないようにしてくださいと記載されていました。

 また、確定申告書に記載する名前は戸籍名でなければいけないということで(開業届の備考欄に旧姓使用の旨を記載すれば確定申告書も旧姓でOKというネット情報から、開業届の備考欄に記載して再度提出したのですが、管轄の税務署から戸籍名でなければいけない旨、連絡がありました。。。)、税務署の方に支払調書の名前も戸籍名を記載してもらわなければいけないのか、ということを確認したところ、「確定申告の氏名が戸籍名なので、カッコ書きでも良いので、戸籍名を記載してもらいたいと言うことでした。

 以上をまとめると、税理士が旧姓登録をした場合、
"給与・賞与等の源泉徴収表” は旧姓で記載確定申告書の屋号は旧姓の税理士事務所名を記載
確定申告書の氏名は仕事上使っていない戸籍名を記載"報酬等の支払調書" は、カッコ書きで戸籍名も記載
ということになります。なんと複雑なんでしょう。(^_^;)
 なお、税理士以外でも個人の士業の方や、「報酬、料金、契約金及び賞金等の支払調書」の対象の仕事を旧姓でされている方も、このような運用になると思います
(ただ、報酬等の支払調書の "記載すべき事項" に記載されている内容の読み方によっては、「屋号のみ」はNGで、「住所+氏名」が記載されていれば良い、という意味にも捉えられるのですが、カッコ書きで戸籍名を記載して提出してもらう方が良いということなんだと思います。)

 税務署の方より支払調書は戸籍名を、ということで、取引先に仕事上使っていない”戸籍名”をカッコ書きで記載してもらうよう伝えるということになるのですが、税理士会のいう、「委嘱者に誤解や混乱を生じさせないよう努めなければならない」と相反してしまうなぁ、とは思いました。

おわりに

 今回は、仕事上”旧姓使用” をしたところ、想定していなかった煩雑さがありましたので、内容をまとめてみました。面倒であれば税理士登録名も、全て新しい戸籍の名字にすれば良いじゃないか、と思われる方もいるかもしれませんが、私としては、税理士業界の仕事をある程度の期間「高寺」という名前でしてきたので、旧姓のまま仕事をしたいと思っており、比較的珍しい名字で慣れ親しんだ名字なので、どこかしらに残しておきたいという気持ちもあり、税理士登録をする際に別途手続きをして、旧姓で登録しました。
 士業に限らず旧姓で仕事をしたいという方は多いのではと思っています。私個人としては、”旧姓の通称使用の法制度” や "選択的夫婦別氏制度" により、名字を変えることによる煩雑な手続きや障壁が無くなれば良いのにと感じています。

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