商品を社員割引で売った場合の注意点

長野駅から近い「ピッツェリア カスターニャ」というお店のピザです。

 会社の商品を、社員割引して販売する、ということはよくあることかと思います。(私も、学生時代のバイト先の某チェーンのアイス屋さんでも、割引で購入することが出来ました。)

 従業員の方に対しては、少しは優遇して商品を売りたい、と考える法人や事業主さんもいらっしゃると思います。ただ、税金の取扱いで気をつけた方が良いポイントがありますので、今回、ご紹介致します。

従業員が会社から受ける「お得」には、所得税がかかる。

 お金だけでなく、商品などの“物”も含めて、従業員が会社から受けた「お得」部分は、毎月受け取る給料と同じように、所得税の対象になります。

 社員割引だけでなく、商品券や、記念品、食事の支給も、会社から受け取る「お得」部分になるので(「経済的利益」とも呼ばれます。)、基本的には、所得税の対象とする処理が必要になります。

 “基本的に”ということですので、これらの「お得」部分のうち、ある一定程度の範囲内で少額である場合などは、所得税の対象としなくて良い扱いがいくつかあります。今回取り上げる社員割引は、次の見出し「3つのポイント」を満たせば良い、という扱いがありますので、参考にしてみてください。

 ちなみに、食事の支給の場合は、下記2つの要件を満たせば、所得税の対象としなくても良いという目安があります。

① 役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
② 次の金額が1か月当たり3,500円(消費税および地方消費税の額を除きます。)以下であること。
  (食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)

 例えば、1ヶ月あたり6,000円の食事代のうち、3,000円を従業員が負担していたとすると、所得税の対象としなくても良く、(①については、6,000円の半分の3,000円を負担していて、②については、6,000-3,000=3,000と、3,500円以下となる。)
 1ヶ月あたり8,000円の食事代のうち、4,000円を従業員が負担していたとすると、食事代から従業員負担分を除いた4,000円は、所得税の対象としてその月の給与を支払う際に、所得税を上乗せしないといけなくなります。(①については、8,000円の半分の4,000円を負担しているが、②については、8,000-4,000=4,000と、3,500円以上となり、条件を満たさない。)

《参考》国税庁HP:食事を支給したとき
 

3つのポイントを満たすと、所得税は対象外で良い取扱いがあります。

 社員割引の場合は、下記、3つのポイントを全て満たすと、給与計算の際に、所得税を上乗せしなくても良い、という目安があります。

1.値引の販売価格が、法人(or事業主)の購入価格以上で、かつ、一般的な販売価格と比べて著しく低い価格(おおむね70%未満)でないこと。

2.値引率が、全従業員に対して一律に設定されているか、もしくは、各従業員の地位、勤続年数等に応じて全体として合理的なバランスが保たれる範囲内の格差で設定されていること。

3.値引販売をする商品等の数量は、一般の消費者が自分自身で通常消費すると認められる程度のものであること。

 つまり、金額的に多少の値引きで、全従業員に平等な値引き割合であり、一般的に一消費者が使う程度のもの、であれば、所得税の対象としなくても良い、という取扱いです。

《参考》国税庁HP:給与等に係る経済的利益(課税しない経済的利益……商品、製品等の値引販売)

 一方、割引金額が多額になってしまうような住宅の値引販売は、この所得税を対象外とする扱いは出来ないと考えて頂いた方が良いです。

 理由は、下記の2つが挙げられていますので、住宅以外であっても、高額な時計や宝飾品、車や高級家電なども、対象外と考えた方が良いでしょう。

① 経済的利益の額が極めて多額で、少額不追及の趣旨に沿わないこと。
② 不動産は一般の消費者が自己の生活において通常消費するようなものでないこと。

《参考》国税庁:住宅の値引販売による経済的利益

所得税が対象となった場合の計算方法

 社員割引で、上記3つのポイントを満たさない場合は、「お得」な部分を所得税の対象として、毎月の給与に上乗せして計算する必要があります。

 例えば、通常 50,000円で販売している商品を30,000円で従業員割引で販売したとすると、60%の価格で販売したことになるため、上記の目安を下回り、所得税を対象外とする扱いは無くなり、

 「お得」部分の20,000円(50,000ー30,000)を、その月の給与計算をする際に上乗せする、という流れになります。

おわりに

 社員割引や、食事代など、「お得」な金額がある程度になっていたり、他の従業員より優遇されていたりすると、「実は、所得税の対象としなければいけないものだった!」と、後から気づく場合もあるかと思います。金額によっては、所得税の影響は多少である場合もあるかもしれませんが、全従業員にそういった「所得税の対象」としなければならなかったものが含まれていたとすると、トータルではかなりの+αの所得税を納めなければならなかった、、、というケースもあるかと思います。
 当事務所では税務顧問以外にも、単発の相談(Zoom・メール対応可)も承っておりますので、宜しければご利用ください。

本日のブログ写真

 先日、長野駅前の「Pizzeria Castagna(ピッツェリア カスターニャ)」というお店で、ピザを食べました。写真はアンチョビの入ったトマトソースのピザで、店内の釜で焼いた出来たてのピザは、とても美味しかったです。

 話しはかなり逸れますが、アンチョビといえば、Netflixの「あいの里」という、恋愛バラエティーに出ていた方で「アンチョビ」というあだ名の方が出ていました。この番組は、35歳以上の男女が、パートナーを探すために古民家で共同生活をする、という内容です。
 少し前から増えている、『恋愛リアリティショー』のような、キラキラした恋愛でもなく、また、ひねくれた見方かもしれませんが、一般人が有名になりたいから出ているのでは、、と思うような方が出演しているのでもなく、
 辛い経験も含めて色々な人生を送ってきた大人達が、最後のパートナーを見つけることを目的にしていて、恋愛でときめきつつも、相手や自分自身のことを真剣に考えている様子が、とても素敵に思えました。

 個人的にはかなりハマって一気に見てしまいました。オススメです。

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