消費税の申告が必要になったら「税込経理」「税抜経理」のどちらを選ぶ?

消費税の申告が必要な法人・個人事業主の方は、
「税込経理」と「税抜経理」のどちらかを選ぶことができます。
今回のブログでは、それぞれ特徴をお伝えしますので、
ご自身が「何を優先したいか」という目線で、ご参考頂ければよいかと思います。
「税込経理」の特徴
■前年以前と試算表の比較がしやすい
前提として、消費税の申告が不要な年度は、
「税込経理」しか選ぶことができません。
ですので、前期までは消費税の申告が不要で、当期から消費税の申告が必要となった場合で、
自社の数字を決算書や試算表で比較すると、
「前期:税込、当期:税込」であれば、単純比較ができるのですが、
「前期:税込、当期:税抜」ですと、当期の金額は消費税分が少ない金額で比較されます。
つまり、後者では単純比較できず、まったく同じ売上だったとしても、
決算書や試算表では、10%(飲食物等の場合は8%)少ない金額になる仕組みです。
ですので、消費税の申告が必要かどうかの基準の1つ、
「課税売上高 1000万円以下」を行ったり来たりするような法人・個人事業主の方で、
前期以前との比較のしやすさを優先するのであれば、税込経理を選ぶというのが1つの考え方です。
*インボイス登録をしている場合は、課税売上高に関わらず消費税申告が必要なので、
インボイス登録年以降は「税抜経理」にして、今後は比較しやすくする、という選択もアリです。
「税抜経理」の特徴
■資産計上の判断で有利になる可能性がある
基本的に、一式あたり30万円以上の資産を購入すると、
1度に全額を経費計上できず、「減価償却」という方法により複数年で費用にしなければならないという決まりがあります。
(*10万以上~30万円未満の場合であっても、中小企業者等の特例を使えない事業者は「減価償却」をする必要があります)
参考:国税庁「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」
この30万円以上の判断が、
税抜経理の場合は “税抜金額” で、税込経理の場合は “税込金額” で判断しますので、
例えば、
税込300,000円(税抜:272,727円)のパソコンを購入した場合、
- 税込経理・・・30万円以上となり減価償却の必要あり
- 税抜経理・・・30万円未満のため一度に全額経費計上できる
というように、経費に計上できる金額が異なります。
利益が出ていて納税がある法人・個人事業主の方で、資産の購入が度々ある方は、
税抜経理を選んで頂いた方が、資産購入年度の税金が少なくなる可能性はあります。
まとめ
税込経理と税抜経理のどちらを選ぶかは、
今回ご紹介した特徴のどちらを重視するかで、決めて頂くのが良いかと思います。
(少し話しは逸れますが、「交際費等の10,000円以下」の処理が必要な法人は、
税抜金額で10,000円以下の判断ができるよう、税抜経理の方が良いかもしれません)
参考:国税庁「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」
私としては、
消費税申告が不要になる年度が、今後しばらく無さそうということであれば、
資産計上の判断で有利になる可能性があるので、
税抜経理で処理して頂くのが無難では、、という印象です。
本日のブログ写真
10月半ばに、白馬からさらに北の方に行った先にある「栂池自然園」に行きました。
ゴンドラとロープウェイと乗り継いだ先に、

紅葉を眺めながら散策できる登山道が整備されていました。

このブログのトップ画像は、木道を進み、その先の山道を歩いた先にある、
展望台から撮った景色です。
展望台までの往復は、お昼をはさんで約3時間弱。
良い運動になりました(^^)
この日は紅葉まっただ中のハイシーズンで、
ゴンドラもロープウェイも、それぞれ1時間以上は待つような日でした。
帰りはロープウェイを使わずに、舗装された山道を歩いて戻ったので、
途中からは足がかなりキツくなってきたのですが、
自然に囲まれた中で少し息が上がる運動ができて、それはそれで心地良さを感じますね。
この記事を書いた人
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長野市在住の30代女性税理士
専門用語をできるだけ使わず分かりやすい説明になるよう、心がけています。
freee・マネーフォワードといったクラウド会計を活用し、タイムリーな数字を見られるようサポート致します。
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