最終更新日:2025年9月29日
今回は、長野県内で創業or長野県内に移転した法人が受けられる可能性がある、
「創業等応援減税」という制度をご紹介します。
法人の申告により納付する「事業税」について、事前の申請+申告期限までの書類提出により、
要件を満たす法人であれば、創業or移転から5年間は ”免除or軽減” を受けられる制度ですので、ご参考下さい。
YouTubeで解説した動画↓もありますので、よろしければこちらもご覧下さい。
長野県の「創業等応援減税」とは?
■どんな税金が免除・軽減される?
この制度で免除・軽減されるのは「事業税」のみです。
法人の申告をすると、基本的に下記の税金を納付することになります。
①税務署へ納付する税金
法人税、地方法人税
②都道府県へ納付する税金
事業税、特別法人事業税、道府県民税
③市町村へ納付する税金
市民税
「1種類の税金しか対象にならないのか。。。」という気持ちになる方もいらっしゃると思いますが、
事業税は、法人の所得*に対して3.5%~7%まで段階的に税率が上がる税金ですので(※税率は長野県のケースです)、
*申告書上で計算した税金の対象となる金額を「所得」というのですが、法人の「利益」とおおよそ近いというイメージを持って頂いた方が分かりやすいです。
利益が多ければ多いほど、納付額の負担はより大きくなる仕組みです。
例えばですが、年間1000万の所得*が出た場合は、50万円弱を事業税として納付する必要があります。
《50万円弱の内訳》
400万円×3.5%=14万円(400万円以下の所得に対する税金)
400万円×5.3%=21.2万円(400万~800万以下の所得に対する税金)
200万円×7.%=14万円(800万円超の所得に対する税金)
合計:49.2万円
■減免が受けられる期間と免除割合
この制度は、創業or移転からの経過年数によって、下記のように免除割合が変わります。

【参考ページ】長野県:創業等応援減税のご案内
ですので、先ほどの年間1000万円の所得がでた法人が、
創業が2025年9月で、決算月が3月だとすると、
- 2026年3月期~2029年3月期まで・・・全額免除
- 2030年3月期・・・2/3を免除
- 2031年3月期・・・1/3を免除
という免除割合です。
対象年度は「~を経過する日の属する事業年度」というルールですので、
初年度がまるまる1年無い場合は、6期目まで使える可能性があります。
4月1日が法人設立日で3月末決算日のように初年度がまるまる1年ある場合は、
この制度は5期目までしか使えないので、設立日をこれから決められる方は考慮して頂いた方が良いかと思います。
制度を利用できる法人の条件
下記でお伝えする「創業」か「新規開業」の要件を満たす法人です。
■創業
- 事業を営んでいない個人が新たに長野県内に中小法人を設立して事業を開始した法人
- 個人事業開始日から5年を経過していない個人が、新たに長野県内に中小法人を設立して事業を開始した法人(2022年4月1日以降に設立したものに限る)
■新規開業
- 県内に事務所又は事業所が無い法人が県内に中小法人を設立し、事業を開始した法人
- 県内に事務所又は事業所が無い中小法人が県内に本社移転し、事業を開始した法人
- 県内に事務所又は事業所が無く事業を行う個人が、県内に中小法人を設立し、事業を開始した法人
※新規開業の場合は、下記2つの要件も必要です。
- 事業の開始に伴い、県内に住所がある雇用保険の一般被保険者である者を1名以上雇用
- 事業年度の終了の日まで1名以上雇用を継続
ざっくりまとめると、長野県内で新たに事業を始めて間もない法人か、
長野県外から初めて県内に移転してきた法人(かつ、県内の人を雇用した法人)が対象です。
申請から適用までの流れ
この制度を利用するためには、
- 「創業認定」を受けるための書類
- 「免除」を受けるための書類
をそれぞれ提出する必要があります。
1.「創業認定」を受けるための書類
提出期限:免除を受けようとする最初の年度の確定申告提出期限の30日前まで
先ほどの法人の例でいうと、2026年3月期から免除の制度を使いたい場合は、
申告期限は2026年5月31日ですので、2026年5月1日までに「創業認定」に必要な書類を提出する必要があります。
この創業認定の書類は複数用意する必要があり、
また、法人の状況によって必要な書類が変わるため、早めに準備して提出して頂くことをオススメします。
提出する書類については、下記の長野県のホームページに記載されている
「創業・新規開業の認定の要件及び提出書類」にて詳細が記載されていますので、ご参考ください。
2.「免除」を受けるための書類
提出期限:免除を受けようとする年度の法人事業税の確定申告期限まで
こちらは、認定を受けて、実際に免除を受ける際に提出をする書類です。
実際に免除を受ける事業税の金額を記載する必要があるため、
確定申告書が完成してから提出します。
上記1の認定を受けられると、認定通知書が届きますので、
そちらに同封されている免除申請書と免除計算書に免除金額などを記載します。
おわりに
当事務所にて税務顧問の契約を頂いたお客様には、
「創業等応援減税」の申請手続きも代行させて頂いております。
税務申告+会計入力のサポート*も含めて対応しておりますので、
よろしければ下記の「税務顧問」の詳細ページをご覧のうえ、お問い合わせくださいませ。
(*スタッフ増員に伴い、若干ではございますが法人様の記経理入力の代行にも対応可能です)

この記事を書いた人
長野市在住の30代女性税理士
専門用語をできるだけ使わず分かりやすい説明になるよう、心がけています。
freee・マネーフォワードといったクラウド会計を活用し、タイムリーな数字を見られるようサポート致します。
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